海洋汚染の救世主?海洋プラスチックから誕生したボールペン
昨今、環境汚染の一つとして問題視されている、海洋プラスチック問題。
私たちの生活や経済活動の中で不法に投棄されたプラスチックは、巡り巡って海へと流れ着きます。
プラスチックはその特性から、ほとんど分解されることなく海へと流れ込むので、海の生き物たちを苦しめる存在となっています。海洋生物の生態系はもちろん、私たちの生活にも影響を及ぼしています。
私自身も環境問題には以前から関心を持っており、宮古島に滞在していた際にも、現地で実践されている取り組みについて取材をさせていただいたことがあります。(マイナビニュース 宮古島バブルの裏で……ユニークなエコ活動)
今回は私の地元の愛知県で、海洋プラスチック問題に取り組まれている、株式会社 メイカス 金田典雅さんにお話を伺ってきました。
ご縁から始まった、ビーチクリーン活動
金田さんがビーチクリーン活動に興味を持たれたのは、今から4,5年前のこと。
愛知県美浜町のヨットクラブ(Seagull Yacht Club)が主催する清掃活動に、賛同する形で始まりました。
ボランティアや海に元々興味があった訳ではなく、会社を経営する上で社会貢献的な活動の必要性を感じて取り入れることにしたという、何とも予想外の動機。 (個人的に、そういった発言に好感を持ちました♩)
観光地や海水浴ができるような浜は、顧客が来るので綺麗にした方がいいという認識で、清掃活動や整理が進められていることも多いですが、金田さんたちが清掃をされているのはそういった浜ではありません。財源の確保も難しく、清掃活動も進んでいないということが現状です。
現在は月に2回程度、ビーチクリーン活動が行われています。
今後はより多くの人々と課題について共有していきたいとのことで、イベント化も検討されています。興味のある方は、SNSなどをチェックしてみてください。
SDGsの先駆け?海洋プラスチックが生まれ変わる
ビーチクリーン活動の傍らで、集めたゴミの活用法についても考え始めました。ゴミをそのまま工場に送るのは何かが違うと感じ、自分たちの手でできる商品の開発を目指しました。
アクセサリーやアートなど、様々なものを試作されました。
商品は、メルカリやminne、SNSで購入可能することができます。個人のお客様から法人の方まで。近年話題のSDGs商品として取り上げられることも多いのだそうです。
「時代の先駆けですね」と声を掛けると、「SDGsの波に乗っていこうという感じではないですけどね」と、あくまでフラットな感じで捉えている金田さん。
プラスチックを使うこともそのこと自体が悪いことではなく、それをきちんと処理しないことが問題だとおっしゃっていて、私自身も納得してしまいました。
SDGsと聞くと難しく捉えがちですが、プラスチックをきちんとした形で捨てるのはOK。自分にできることから始めてみようと、改めて思いました。
廃材を活用した、新しいアート
金田さんが作られた商品は、マルシェなどでも購入することができます。実際に私も、出店されているマルシェにお邪魔させていただきました。
素敵な商品が、ズラリと並んでいます。透明感のある美しさが魅力でした。
その傍らでは、ワークショップも開催されていました。
「ディンプルアート」??
興味を持った私は、体験してみることにしました。
ディンプルアートとは、透明の絵の具で描くガラスアート。こちらの絵の具は、自動車のフロントガラスの廃材を活用して作られています。
今回は、キーホルダーの制作をすることにしました。好きな絵柄を選択して、いざ。
小さなお子様から大人まで、幅広い世代の方が楽しめるのではないかと思います。
次の出店は、4/2(日) なごのキャンパスで開催される、癒しのマルシェ vol.6です。興味のある方は、立ち寄ってみてください。
活動を通して、社会に貢献する
金田さんに今後のビジョンについてお伺いしたところ、「社会貢献に繋がる活動ができたら…」とおっしゃっていました。
具体的に考えているのは、SDGs雇用と呼ばれるもの。障がいを持った方々や高齢の方に、仕事をしてもらう予定です。
こちらのボールペンですが、値段は割と高め(一本1,000円)の設定となっています。実はそのほとんどは人件費で、正当な対価としてお支払いできるようにと考慮されています。
私自身も就労支援施設にお伺いしたことがありますが、その内情は思わしくなく、低賃金で働かざるをえない状況にある方々もいらっしゃるのではないかと感じていました。(※ 全ての施設に共通するものではなく、あくまで私の主観でお話しています)
正当な対価が支払われることで、そういった方々の働く意欲や将来の希望へと繋がります。心から、素敵な活動だと思いました。
もう一つ印象的だったのは、「最終的には、清掃活動をしなくてもいい世界にしていきたい」とおっしゃっていたことです。
「商品ができなくなるくらいが、いい」と、話されていた金田さん。
一般的な視点からみると、売ること自体が目的となってしまってもおかしくないような状況ですが、元々は清掃活動で集まったゴミを処理する際に、コストを減らしたいという思いで作られた商品。
本来の目的から外れることなく、ビジョンとして組み込まれているところに感銘を受けました。
海洋プラスチック問題に誠意を持って取り組む、株式会社 メイカスさん。
商品が作れないくらいクリーンな世界になればいいなと思う反面、もう少しその活動を見ていたいなと思ってしまう、私もいました。